この記事を読んでわかる事
- 公的医療保険にはどんな種類がある?
- 公的医療保険の保障範囲は?
- 民間の保険を適正化できる!
- 日本人に生まれてよかったと実感できる!
この記事を読んだ後には、公的医療保険の適用範囲がわかり、民間の保険を適正化できるようになります。
想像以上に公的医療保険でカバーできる範囲が広いことに驚くことでしょう。
目次
公的医療保険とは?
社会人になったり、家族ができたりするタイミングで保険に加入するようを周囲の人に勧められることがあるかと思います。
しかし、民間の医療保険などは加入する前に公的医療保険がどこまでカバーしてくれるのかご存知でしょうか?
公的医療保険とは?
病気やケガをしたときに支払う医療費を公的な機関が一部負担してくれる制度
実は公的医療保険は、思っている以上に多くの怪我や治療に対して大きな効力を発揮します。
まずは公的医療保険がどの程度怪我や治療の入院に対して効力を発揮するのか確認して初めて、民間の医療保険でカバーする範囲の適正化することができます。
ここでは医療保険に加入する前の前段階として、公的医療保険でどれぐらいカバーできるものなのかを紹介します。
公的医療保険にはどのような種類があるの?
公的医療保険にはいくつかの種類が存在します。
怪我や病気などの時はもちろん、一定の条件を満たした時に活用することができる公的医療保険も各種揃えられています。
まずは公的医療保険にどのような種類があるのか確認していきましょう。
国民健康保険
最も身近で活用する回数の多い保険が国民健康保険です。
国民健康保険とはどのような保険なのでしょうか。
国民健康保険の仕組み
国民健康保険は、主に自営業の人や無職の人が加入する健康保険です。
サラリーマンの方であれば、会社が運営を委託している健康保険組合、公務員の方であれば共済組合がこれにあたります。
国民健康保険は国民皆保険制度に基づいて、サラリーマンや公務員でない人でも必ず加入しなければなりません。
市区町村が運営する国民健康保険組合に、毎月一定額の国民健康保険料を加入者は納めます。
その代わりに国民健康保険組合から受給者証が配布されます。
この受給者証を持参することで、病院で治療を受けることができるようになります。
国民健康保険の提供する医療サービス
国民健康保険に加入している全員が受けられる医療サービスは、医療費の窓口負担の軽減です。
病院にかかった時の治療費のうち窓口で支払う負担額を軽減するというものです。
【医療費の窓口負担軽減】
- 15歳以下は治療費の2割
- 15歳から75歳までは治療費の3割
- 70~75歳までは治療費の1割
多くの人が病院にかかる時にこのサービスを受けることができるで、最も身近なサービスかもしれません。
健康保険組合との比較
サラリーマンが加入することになっている健康保険組合とはどのような違いがあるのでしょうか。
以下の表に健康保険組合と国民健康保険組合の違いについてまとめました。
国民健康保険 | 健康保険組合 | |
加入者 | 個人事業主 | 会社員 |
運営者 | 市区町村 | 協会けんぽ |
保険料の支払い単位 | 世帯単位 | 個人単位 |
保険料の支払い人数 | 加入者数 | 扶養人数 |
保険料の個人負担額 | 全額自腹 | 会社と折半 |
注目すべきは保険料の負担額です。
健康保険料は健康保険組合の場合にはサラリーマンと会社とで支払うべき金額を折半します。
これはすなわち、国民健康保険に加入している人が支払う金額の半分で良いことになります。
このため個人事業主の方にとっては国民健康保険料の支払いは大きな負担となっていることが多いようです。
傷病手当金制度
傷病手当金制度の仕組み
医療費の窓口負担の軽減は国民健康保険が提供するサービスになので最もよく知られているものですが、意外と知られていないのが傷病手当金制度です。
傷病手当金制度とは、医師に「病気や怪我で働けない」との証明書をもらうことで、国民健康保険組合から傷病手当金を受給することができるというものです。
傷病手当金で支払われる金額は、標準報酬日額の2/3と定められています。
標準報酬月額とは?
毎年1回、4月、5月、6月の3ヶ月間にもらった月額給与の平均額のこと
(例)4月20万円、5月25万円、6月30万円の場合
(20万円+25万円+30万円)÷3ヶ月=25万円
この場合は、25万円受け取れる!!
傷病手当金が支払われる期間は、受給開始してから1年6ヶ月と決まっています。
病気や怪我などで働けなくなってしまうと、その分だけ所得が減ってしまいます。
そうなってしまうと生活を維持するのも難しくなり、病気や怪我の治療に集中して取り組むことができません。
そうならないために傷病手当金制度は充実が図られてきました。
病気やケガで働けなくなった時の備えとして十分に活用することができます。
民間の医療保険に入るとするなら?
傷病手当金制度によって、病気やケガで仕事ができなくなってしまった場合には、1年6ヶ月の間は報酬の2/3が支払われます。
病気や怪我で仕事できなくなってしまったときに、保険金を受け取ることができるのが【給与サポート保険】です。
給与サポート保険とは?
病気やケガでの長期的に働けなくなった場合に収入減少分を補うための保険
民間で提供されている給与サポート保険は、この傷病手当金制度を補う形で加入するのがポイントです。
例えば、傷病手当金が支払われる1年6ヶ月よりも働けない期間が長くなってしまうということに不安を感じる人は、1年6ヶ月後から保険金が支払われる給与サポート保険に加入するのは良いでしょう。
同様に、傷病手当金が支払われる1年6ヶ月の支給額に不満がある人は、この期間に支払われる給与サポート保険に加入すべきでしょう。
高額療養費制度
国民健康保険に加入していれば、病気や怪我で病院にかかったとしても窓口で支払う際の治療費は実際にかかった分の3割で済ますことができます。
しかし骨折や重い病気などで継続的な通院や入院をすると、多額な治療費を支払わなければならなくなります。
そのような事態に陥るとか家計に大きなダメージを与えてしまいます。
そのようなことがないように、患者が支払う治療費の上限額が定められており、この上限額を超えて治療費は支払わなくても良いという制度が、高額療養費制度です。
実際には一度病院に治療費を支払うことになりますが、1ヶ月分の治療費が定まったタイミングで国民健康保険組合に申請することで、上限額より超えて支払った治療費の還付を受けることができます。
70歳までの加入者 | 負担額 |
年収1,160万円~ | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
年収770~1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
年収370~770万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
~年収370万円 | 57,600円 |
住民税非課税 | 35,400円 |
こちらの表に、高額療養費制度の支払うべき上限の負担額の算出方法をまとめています。
ご覧のように年収によって負担の上限額が異なってきています。
ただし注意点があります。
- 入院などの際に支払った差額ベッド代
- 食事代など
上記は自己負担額に含まれません。
自己負担額として計上することができるのは、あくまで治療や療養にかかった費用のみになりますので注意しましょう。
出産一時金と出産手当金
妊娠しておなかの中に赤ちゃんがいる妊婦さんは、体調の変化などで病院に行くことが増えます。
しかし妊娠・出産は病気ではないので、国民健康保険利用して医療費の軽減を図ることができません。
自治体によっては独自に、妊産期の妊婦さんが病院で支払った費用を負担する制度を用意しているところもあります。
妊娠がわかったらまずは、お住まいの自治体がどのようなサービスを提供しているのか確認する必要があるでしょう。
晴れて無事出産することができれば、妊婦さんには以下の2種類の手当を受け取ることができます。
出産育児一時金
妊娠して85日以降での出産をすると、国民健康保険から出産育児一時金として42万円を受け取ることができます。
しかし概ねの場合、出産育児一時金は出産の時にお医者さんや助産師さんの手を借りた治療費や入院代として支払ってしまい手元には残らないことがほとんどです。
出産育児一時金は、国民健康保険のみならずサラリーマンが加入する健康保険組合や共済組合に加入している場合でも同様に受け取ることができます。
健康保険組合に加入している夫の扶養に入っている妻が出産した場合でも、夫が加入している健康保険組合から出産育児一時金の支給を受けることができます。
出産手当金
妊娠・出産によって、仕事ができなくなった場合に受け取ることができるのが、出産手当金です。
産休中の女性の生活を支えるために支給され、出産のサポートとしての役割を持っています。
標準報酬日額の2/3の支給を受けることができます。
主に出産前42日から出産後56日まで仕事を休んだ場合に受け取ることができます。
出産手当金を支給されるのは、主に出産をする女性社員です。
健康保険組合に加入している女性が、産休を取得することで、出産手当金の支給を受けることができます。
また、出産手当金が支給されている期間は、雇用保険料、年期保険料、健康保険料を免除されます。
このため、出産に対しての経済的な不安を軽減させることができ、出産に集中することができます。
後期高齢者医療制度
75歳以上の高齢の方は後期高齢者と呼びます。
後期高齢者はそれまでの世代と比べて病院にかかる割合が飛躍的に高くなることから、現役世代とは異なる後期高齢者医療制度が用意されています。
2008年から開始された本制度は、75歳の誕生日を迎えたタイミングで自動的にそれまで加入していた健康保険組合や国民健康保険から移行されます。
保険料は個人負担で、年金支払い金から天引きされるのも特徴的です。
病院での治療費窓口負担は1割
現役世代が多くの場合病院での治療費は3割負担であるのに対して、75歳以上の後期高齢者の方は窓口負担を1割で済ますことができます。
高額療養費制度も現役世代とは異なる
後期高齢者医療制度に定められている、高額療養費の上限額も現役世代とは異なります。
75歳以上の加入者 | 負担額 |
年収370万円~ | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
現役並報酬 | 外来57,600円 |
~年収370万円 | 57,600円 外来14,000円 |
住民税非課税 | 24,600円 外来8,000円 |
住民税非課税以下の世帯 | 15,000円 外来8,000円 |
注目すべきは、年収の割合もさることながら外来のみの診療でも上限額が定められていることです。
高齢者になっても手厚い医療を受けられるような制度設計になっています。
まとめ
ここまで公的医療サービスがカバーしている範囲について解説してきました。
いかがでしたか?
想像以上に公的医療保険でカバーできる範囲が広いことがわかっていただけたかと思います。
日本の公的医療サービスは、国民皆保険制度になっており他の福祉国家の模範となる制度を築きあげてきました。
このため家計を改善するために保険を見直す場合には、ここで解説したような公的医療保険がカバーできていない範囲について、民間の医療保険でカバーすると効率的であると言えます。
民間の医療保険への加入を検討する前に、公的医療保険がどこまでカバーしているのか確認しましょう。